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育児

 お読みくださりありがとうございます。

私の娘は、ダウン症という個性を持って生まれてきました。

学生時代、分子生物学を専攻していて、ダウン症についても知っていたので、出産時から「幸せの天才が来てくれた!よくぞうちに生まれてくれた!welcome!」と肯定的に受け止めることができましたが、症例が少なく育児書の成長にもそぐわない娘をどう育てたらいいか、迷うことも悩むことも、唖然とすることも、沢山沢山ありました。

合併症がないと知り、最初の迷いは「早期療育をするかどうか」でした。ダウン症は早期療育が有効ということは知っていましたが、 生後2週間の娘に本人の意思を確認することも難しく、我が子に無理をさせずにそのまま見守るのが良いか、早期に療育をさせるか。悩んだ末、後者を選びました。

幸せに生きるために、自分の意思を伝えられた方がいいから、言葉を覚えることは大事。多分、社会では差別やいじめもあるだろう。何かあったときに、きちんと伝えられるように、自分の思いを書けるようにしよう。一人でも生活できるように、小学校4年生までの算数は、出来るようにしよう。そのために、まずは、何でも話せるように、娘が話せるようになったらどんな話でも否定せず聞こう。

生後2週間の娘に、「ママのところに生まれてくれて本当にありがとう。ママはあなたのチャレンジを尊敬しています。ママはあなたが自分を幸せにできる人になる様に、できることをみんなしようと思います。お勉強(早期療育)もすぐ始めるけど、よろしいですね。」と、その決意を語りかけました。

その時、音としてそのお話が楽しかったのか、ただタイミングの良い反射だったのか、娘が笑ったのです。都合よくOKと捉え、早期療育を始めました。

これが楽しいらしいのです。反応のよさそうなものを探しては、夢中になる娘を見ているのがとても楽しかったです。

一緒に遊び、出来るようになれば一緒に喜び、何の比較対象もない、全て加点の世界で、ゆっくりですが確実に言葉を獲得し、計算をし、少ない短期記憶のメモリーをフルに使って、好きなものを徹底的に覚えていきます。言葉を覚えた時、「ママ」「パパ」の次に「だいじょうぶ?」を覚えました。絵本や動画で泣いている場面を見つけては、「だいじょうぶ?」とティッシュで涙を拭きます。気づけは、保育園では普通の子とほとんど変わらず、走り、おしゃべりを楽しみ、文字を覚えました。今でも、毎日ママやパパにお手紙を書いてくれます。「6」という数字だけが書かれたお手紙は日に日に長くなり、漢字が増え、内容も今では「お迎えの時間が遅い」というクレームや「トイレ、トイレ、がまん、がまん」と言った心の声、「11月は30日だよ、わかった?」という雑学まで、多岐にわたります。

もちろん、くじけそうになったこともあります。数字が苦手で、何度教えても「1, 2, 3」の概念が入りません。10まで言えるけれど、3個あるボールを一緒に数えた後「何個?」と聞くと、「何個!」と答える(笑)。大好きなイチゴをお皿にのせて、「これが1個」「これが2個」「これが3個」「何個食べたい?」と聞いても、キョトン。そのうち、『ママ、1個2個食べたい』と、イチゴの名前と勘違いする始末(笑)。それでも、いつかその点が線になって繋がる時を楽しみに待ちながら、娘の発言を一つ一つ楽しみ、「そっか、そっか」と笑顔のコミュニケーションを続けました。今ではひっ算をし、九九を、「まだ覚えなくていいよ」というのに覚えるので、できないことなんていんだなあと、実感しています。

 まだ小学校低学年の娘ですが、将来は「一人暮らしする!」のが、夢だそうです。良く考えているようで、『一人暮らしして、さむしく(寂しく)なるといけないから、ママはお隣に住んでね。パパは、そのお隣ね。』『できないことがあったら大変だから、ママは寝るまで一緒に居てね。』『寝るとき、さむしい(寂しい)から、ママ、一緒に寝ようね』と、一生懸命話し、雑貨屋さんでは『一人暮らしするから、必要かな?』とショッピングバックを真剣に選びます(笑)。洗濯も、お料理も、率先してお手伝いしてくれます。

娘を見ながら、「社会に出るとしたら、何が向いているか」「どんな仕事ならできそうか」日々観察し、「少しでも好きで楽しめる仕事」を探しています。目指せ納税者です。 

娘を見ていると、「そうだよね、本来、学ぶことって楽しいよね。できることって嬉しいよね」と再認識します。同時に、これだけハンディキャップがあっても嬉しそうに伸びるのだから、本当にできないことなんてないんだよね、と、思うのです。

生徒たちを見ていても、 強制されない状況では純粋に学ぶことの面白さを見出す子も多く、驚異的な理解力を発揮する子もいます。

 中高生になると、もう幼いころの様に「すごいね!」「えらいね!」で喜ぶこともないし、『勉強嫌い!』と言い切る子も多いですが、嫌いなのは勉強そのものではなく、「わからないのに、わかるようにならないもどかしさ」や「勉強にまつわる、強制される雰囲気」「嫌いな食べ物を食べされられるときの様な不快感」「勉強しなきゃいけないのに、出来ない罪悪感」など、『勉強の周りのモノ』だったりします。勉強自体は、やり始めると楽しめる子も多く、何よりテストで良い点を取ることは、大きな快感をもたしてくれるようです。

 脳機能は、働きかければ80歳を超えても発達することが研究で明らかになりましたが、コミュニケーションを安心して楽しむことでどの領域も発達させることが可能です。勉強は、文字通り、誰でも体得することが可能です。

勉強は、自己実現のための、とても便利なツールです。そして、勉強は自己投資なので、全て加点の世界です。娘を含め一人でも多くの生徒が、勉強を楽しみ、大好きな自分の未来を自由に創って行ってくれたらいいなと思っています。

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